kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『千と千尋の神隠し』監督:宮崎駿

〇作品概要

・2001年公開のジブリ作品

ベルリン国際映画祭にて、金熊賞を受賞

アカデミー賞にて、長編アニメ映画賞受賞

 その他、多数の賞を受賞

〇感想・見どころ ※内容含みます

公開当時、劇場で観た時以来の鑑賞だったのだが、詳細までストーリーを鮮明に覚えていたことに自分でも驚いた。初めてみた時から今日までいくつもの映画を観てきたが、それにも関わらず、あの世界観に引き込んでいく力はやはり圧倒的に秀でていると感じた。最近ジブリ作品をよく観ているのだが、どの作品も大人でも一瞬で物語の中に連れていかれ、気づいたら主人公と一緒にワクワクしているのだ。宮崎駿の偉大さを改めて感じた。本作の魅力を語り出したらキリがないが、以下で3つだけ述べようと思う。

①あの世界に引き込まれる理由

本作品のこの没入感の原因を考えみた時に思い浮かんだことは、終盤に銭婆の元へ行く以外は、舞台が油屋で完結していることによってあの世界を想像しやすくなっているのではないかということだ。千尋は、作品の中で油屋の屋敷内外をよく走り回る。そのため、あの建物がどのくらいの大きさで、どんな内観・外観なのかが脳裏にはっきりと浮かんでくるたのだ。また、油屋の前にある屋台街(?)や豚小屋なども度々するため、油屋付近の構図や雰囲気も大体想像することができる。このように、油屋と街並みを鮮明にイメージすることができることによって、あの世界観がより一層伝わってきて、気づけば自分も千尋と共にあの世界にいるような感覚に陥るのではないだろうか。

②記憶に残る理由

ストーリーが記憶に残る一番の要因は、やっぱりあの個性豊かなキャラクターたちではないだろうか。湯婆婆やリンをはじめ脇役のキャラクターたちはどれも個性豊かで、なんだか全員に愛着が湧いてきてしまう。ジブリ作品の中でも特に、登場人物がかなり多いのではないかと思うのだが、見た目のインパクトも加わり、どのキャラクターも一度見たら忘れない特徴を持っている。そして、作り手の技術によって、全員が物語の中で生き生きとしているのだ。だからこそ、記憶に残るのではないだろうか。

ジブリの美しい”水”

個人的に好きな光景は、雨が降ったことによって油屋の周りが一面海になった時の美しい風景と、その中を電車が走っていくシーンだ。まるで海の上を電車が滑っていくようで、なおかつその海に空模様が反射しているのがとても美しい。もののけ姫でのシシ神が現れる池のシーンもそうだが、ジブリ作品に出てくる水はどこか神秘的でとても好きだ。

 

本作は、繰り返し見て深読みする事を楽しむこともできるとは思うが、基本的に1度観れば理解できるストーリーだと思う。それにも関わらず、何度も見たくなってしまう中毒性がある。何度でも千尋と共にあの世界に行き、おにぎりを食べながら一緒に泣いたり、湯婆婆を恐れたり、ハクの背中に乗って空を飛びたいと思ってしまう。その理由はもちろん上記に述べた以上にたくさんあるが、それがジブリ作品の偉大さであり、その魅力に心を動かされた人が世界中にいるということになんだか嬉しくなった。