kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『すずめの戸締まり』監督:新海誠

ポスター画像

(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

 

〇感想・見どころ 

 これまで、新海監督作品は、私的には正直言うと特別好きというわけではなかったけど、本作はこれまでと一味違った気がする。自分でも全く予想していなかったのだが、終盤に心にグッと来る場面があり、まちがいなく記憶に残る作品となってしまった。

 まず、作品の始め30分ほどの掴みが抜群によかったと思う。廃墟にぽつんとある不思議な扉、謎の青年、鈴芽にしか見えていない町の異変…。「何が起こっているの⁉続きが観たい!」と思わされる要素が一気に押し寄せ、一瞬で物語の世界に引きこまれた。また、もう一つ没入できる要素としては、やはり本作のキーワードとなっている”地震”があると思う。これは、恐らく日本人の多くの人にとって身近なものであり、もはや耳馴染みの音となってしまった緊急地震速報のアラート音などが聞こえてくると、やはり無意識に緊張感を感じて、目を離せなくなってしまうのだ。だからこそ、鈴芽が成し遂げようとすることに、日本人ならきっと多くの人が興味を持ってしまうのではないかと思う。

※以下ネタばれ含みます

 そして、最後に鈴芽が小さい頃の自分に合うシーンは、とにかく心にジーンときた。あれは、鈴芽の母ではなく、大きくなった鈴芽だったのか!と驚愕。何より、大きくなった鈴芽が、小さな自分にかける言葉は、全てが本当に温かくて、あの言葉に救われる人はたくさんいるのではないかと心から感じ、涙が止まらなくなってしまった。私は幸いにも被災者ではないが、それでもなんだか救われたような気持ちになり、自分でも驚くほど泣いた。それほどに本作は、これまでの新海作品と比べて、とにかくメッセージ性が強く感じられるものだったと思う。美しい世界感や、現実のリアルな街並みを描くことで、共感させるテクニックに長けている新海監督だからこそ、こういったメッセージをこれほど心に響くように描くことができたのではないか。