kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『海街dairy』

〇作品概要

・2015年の邦画

・監督:是枝裕和

カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品

日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞

〇感想・見どころ 

 本作は、何か大事件が起こるような物語ではなく、鎌倉に住む姉妹の和やかな日々が落ち着いたトーンで描かれている作品だ。だけど、つまらなくない。鎌倉の風情溢れる街並みや、静かな波の音が聞こえる海辺の町の落ち着いた感じが、物語に温かみを加えていて、観ていてとても穏やかな気持ちになれる作品だった。

 だけど、よくよく考えると描かれているテーマはそんなに軽いものではない。広瀬すず演じる「すず」という少女が、両親を失ったことで、鎌倉に住む腹違いの姉たちと一緒に住むことになるというストーリーだからだ。穏やかに見える日々の中でも、すずは、自分がいることで誰かを傷つけていないか、自分は本当にここにいてよいのかと、日々葛藤する。そんなずすに、3人の姉たちや町の人々は優しく寄り添い、ここにいていいのだと、すずの居場所が自然と作られていく様子に終始ほっこりした。また、そんな風にだんだんと打ち解ける様子が、姉妹で浴衣を着て庭で花火をしたり、庭にある梅の木の実の収穫をして梅酒を作り、熟した頃にみんなで飲んだり…というような季節を感じる場面と共に描かれていることが余計に心を揺さぶり、家族や姉妹って素敵だなーと何度もジーンときてしまった。

 あと、個人的に印象に残ったのは、長澤まさみの演技だ。本作では、長女とは対照的に陽気でちょっとだらしない次女を演じているのだが、冒頭のたった数カットだけで、そのキャラクターがわかるし、本当に終始自然すぎて、こんなに演技うまかったっけ⁉と驚いてしまった。