kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『TANG/タング』

〇作品概要

・2022年公開の邦画

・監督:三木考孝浩

・原作「ロボット・イン・ザ・ガーデン」

・あらすじ

ニートでゲーム好きの健(二宮和也)は、弁護士の妻・絵美(満島ひかり)に養ってもらって生活している。そんなある日、庭に旧式のロボットが迷いこんでくる。ついに妻に呆れられて、家を追い出されてしまった健は、「TANG」と名乗るボロボロのロボットと共に旅に出ることになる。健は、TANGを開発した会社に、TANGを届けようとするが、思わぬ展開となり…

 

〇感想・見どころ ※ネタバレ含みます

 冒頭から、キラキラしたファンタジーの世界観に惹かれた。舞台は日本であるが、現在より何年も先の話の設定のため、画面に映る街の様子は現実世界とは全く異なり、例えるなら、実写版ディズニー映画のような雰囲気があった。あのファンタジー感が日本映画でも見られるのか!という事に何より驚いた。そして、何と言っても総じてTANGが想像以上にかわいかった(笑)CGと思えない存在感で、チョコチョコ歩く姿も驚くほどリアルだ。そのため、少しずつ健になついていく様子が、人間の子供のように思えてきて、完全に母性本能をくすぐられた。

 ストーリーとしては、ざっくり言ってしまうと、TANGを開発した人を探す旅に出るも、その道中に悪者にTANGを狙われ、なんとかして開発者の元に辿り着くも、実は本当の悪の根源は開発者だった、という比較的ありふれた展開だ。そのため、油断しそうになるのだが、ラストは想像以上の感動が待ち受けている。そして、その感動はなんと言っても二宮和也と、満島ひかりの演技力によるものだ。旅を終えて、心を改めて帰ってきた健は、妻・絵美(満島ひかり)に思いを伝え、和解する。その時の、目に涙を浮かべながら話す2人の演技は圧巻だった。あれは完全にもらい泣きしてしまう。ラストシーン以前にも、健が1人で号泣するシーンがあるのだが、それにも思わず泣いてしまった。二宮和也の涙は、本当に自然で、どの作品を見ても彼の涙にはいつももらい泣きしてしまう。本作でも、そんな彼の演技力が存分に発揮され、明らかに作品のクオリティを高めていると感じた。

 確かに、ストーリーは、これまで見たことのないものを求めている人には物足りないかもしれないが、日本のファンタジー映画とCG技術のクオリティ、そして、役者陣たちの素晴らしい演技という点において、観る価値はあると感じた。