kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『ラーゲリより愛を込めて』監督:瀬々敬久

〇作品概要

・2022年公開の邦画

〇感想・見どころ 

久しぶりに、心から観てよかったと感じた。そして、何より一人でも多くの人が観るべき作品だと思った。

本作には、確かに『NOPE』や『RRR』に感じられるようなエンタメ性や興奮はない。だけど、あのような過去や歴史があったのだという、日本人として知っておくべきことが、時には痛切にしっかりと描かれている。それだけでなく、そういった過酷な状況や絶望的な状況に陥った時に、人はどう乗り越えていくのか、どうやって少しでも前向きに生きていくのか、という現代の我々にもあてはまるような普遍的なことが描かれていることで、遠い過去の話では終わらずに、共感することのできる作品となっていた。
 それらを踏まえると、本作が良作だと思えた要素は、戦争という暗い側面を描く陰の部分と、家族愛などの感動的な面を描く陽の部分のバランスが、非常によかったからだと思う。仮に、”愛”に重きを置いて描いたとしたら、お涙頂戴映画になりすぎて、感情移入できなかっただろう。全体的なバランスがとれているからこそ、ラスト30分はもう感情が揺さぶられるままに、号泣するしかない。それは、最後に、本当に実話なのか⁉と思うくらい、人の温かさを心から感じる素晴らしい真実が発覚するからだ。こういう形で、戦争の悲惨さや、戦争がどういうものであるかを伝えるというのは、とても意義のあることだと感じて、本作に称賛を送りたくなった。