『マイ・ブロークン・マリコ』監督:タナダユキ
〇感想・見どころ
あらすじとビジュアルを観て、「これはすごそうだ!」と思い、期待が高まっていただけに、正直期待を上回らなかったという印象。インパクトのあるポスタービジュアルは非常に好きなのだが…。何かを強く訴えるような永野芽依のまなざしが印象的で、2022年の中でもベストに入るデザインだった。
内容的には、確かにこれまでのイメージにはない永野芽郁が見れるという点や、死んだ親友の遺灰を奪って旅するというストーリーは、新鮮で興味を惹かれるものであった。だけど、観終わった後に正直少し物足りないというか、自分もシイノと一緒に号泣できるほど没入することができなかったというのが正直な感想。その理由は、恐らくマリコとシイノの友情がどれほどであったのか、シイノがマリコをどれほど愛しているのかがそこまで伝わって来なかったからではないかと個人的には感じた。2人が出会ってから親しくなるまでの回想シーンは何度か出てくるのだが、それでもなんだかシイノに心から共感し、感情を揺り動かされるということがなかった。役者陣の演技というよりかは、物語の構成というか描き方に要因があったような気がする…。
一方で、ストーリーの内容は、大切な人を失った後にどう生きるか、辛い明日をどう乗り越えていくのかという深いメッセージ性が込められていて考えさせられる部分があった。こういった作品は、邦画ではあまりない印象なのでその点はとてもよかった。