kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『ゴーストブック おばけずかん』

〇作品概要

・2022年公開

・監督:山崎貴

〇感想・見どころ 内容含みます 

 山崎監督の作り出す、期待通りの素敵なファンタジーの世界に心躍った。まず感動したのは、異世界への行き方だ。例えるなら、ハリーポッターを見た時に、駅のホームの壁を抜けて魔法の世界に行くシーンを始めて観た時のあの興奮を、久々に感じた。どのようなシーンかというと、子どもたちは、いつも通る道にこれまで見たことのない古本屋を見つける。古本屋の中に入ってみると、外からは想像もできないほどの奥行があり、壁にはアンティーク調の古びた本が山積みにされていたり、怪しげな大きな階段がある。やっと見つけた出口から出てみると、そこは異世界になっているのだ。その古本屋の雰囲気が、いかにも何か起こりそうな雰囲気が漂っていて、ワクワクしてくる。ハリーポッタースピルバーグ監督作品が好きな人であれば、絶対に気に入るはずだ。また、お化けの世界の光景にもワクワクした。そこは、一見これまでと何の変哲もない世界に見えるのだが、よくよく見ると看板にはこれまでに見たことのない奇妙な文字が書かれていたり、屋根が家の真横についてるなど、建物がありえない風貌に変わっていたりする。そして、家の中に入ると、部屋が勝手に動き出しもする。これまでに見たことのないそれらの光景は、童心に帰らせてくれて、大人が見ても思わずときめいてしまった。

 さらには、本作を一層魅力的にしていたのは、何と言っても瑤子先生を演じた新垣結衣の存在だろう。彼女の柔らかくて、母性溢れる優しい雰囲気が、作品を温かくて穏やかなものにさせているように感じた。また、瑤子先生のキャラクターがちょっとだけポンコツという設定なのも、主役である子供たちをいい具合に引き立てていた。

 本作に出てくるお化け図鑑には、お化けの特徴と共に「でも、大丈夫」という言葉に続いて、おばけの対処方法が必ず書かれている。大切な人のためにお化けに立ち向かう子どもたちの姿を観て、何度も出てくる「でも、大丈夫」という言葉になんだかジーンと来て感動してしまった。