kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』

〇作品概要

・2022年公開のハンガリー・ドイツ・フランス・イタリア合作

・監督:イルディコー・エニェディ

カンヌ国際映画祭 コンペティション部門出品

・試写にて鑑賞

・あらすじ

 …船長のヤコブ(ハイス・ナバー)は、カフェにて、次に入ってきた人と結婚をすると友人に宣言する。そして、入ってきたリジ―(レア・セドゥ)にその場で婚約を申し出、2人は結婚することになる。仕事柄、毎回数カ月間家を空けるヤコブは、ある出来事をきっかけに次第に不在の間の妻の行動が気になり始め…

 

〇感想・見どころ 

 とにかく終始レア・セドゥの魅惑的な美しさに引き込まれた。役柄的にも謎めいた女性だっため、本性が掴めない感じがより一層彼女の美しさを際立たせ、魅力的にさせていた。夫からのプレゼントに喜んでいる時の表情、夫を少し見下したような表情、嫉妬している夫を楽しむように見つめる表情…など、どの表情にもその奥に隠された別の感情を彷彿とさせ、吸い込まれるようなリジ―の微笑が頭から離れなくなった。

 船長のヤコブは仕事熱心で、真面目で、どちらかと言うと物静かで、誠実な男性だ。それに対して、リジ―は交流関係も多く、時には激しいダンスを踊り、どちらかと言うと遊んでいそうな女性だ。そんな彼女の本性も知らず、出会ってすぐに婚約を申し込んだ時のヤコブは、恐らく自分なら船を操縦する時のように、女性を扱うことも容易だと思っていたに違いない。しかし、現実はそううまくはいかなった。リジ―はヤコブの思い通りになるような女性ではなかった。本作では、そんな風に知らぬまに彼女に振り回され、どんどん滑稽になっていくヤコブの姿が見どころの一つであった。一見、裕福な夫が誠実に妻を愛しているのだから、妻も純粋に夫だけを愛し、彼の帰りを従順に待っているだけで十分幸せではないかと思えるのだが、そんな風に単純ではないのが人生だし、恋愛だということが描かれているように感じた。