kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『タイタニック』監督:ジェームズ・キャメロン

〇感想・見どころ ※多少のネタばれ含みます

①リアルすぎ、かつ豪華な演出

 とにかく演出がリアルですごい。沈没するまでは、タイタニックの豪華さや威厳が、音楽と様々な演出により、これでもかというほど伝わってくる。だからこそ、タイタニックが沈没した時には登場人物と共に喪失感を感じられる。また、船が傾き始めてから沈没までの人々の逃げ惑う姿や、船が少しずつ水浸しになっていく様子は、言葉を失うほどリアルすぎて、観ていてハラハラドキドキが止まらなかった。特に、タイタニックから逃げ出すためのボートをめぐって、乗客たちがパニック状態に陥ったり、争う様子がリアルで、当時もこのような状態だったのではないかと想像すると、胸が苦しくなった。

 

②死を目前にした時に現れる人間の本性

 ローズ(ケイト・ウィンスレット)の婚約者とジャック(レオナルド・ディカプリオ)を、傲慢な人間と心優しい人間として相対的な人物に描いている点が、極限状態において人間の本性がどう表れるのか、という人間の道徳を説いているようでおもしろかった。

 

③ストーリー構成

 ストーリーの構成上、私たちはローズ(ケイト・ウィンスレット)が生き残るという結末を冒頭に知るわけであるが、それにも関わらずこれほどまでに集中力を途切れさせることのない作品はなかなかないのではないだろうか。このタイタニック号沈没の生存者が当時を振り変えるという構成は、ありがちではあるが、本作の魅力の1つであると感じた。なぜなら、私たちは未来のローズを見て、彼女が悲劇を経てこれまでどのような思いで生きてきて、今当時のことをどう感じながら話しているのか、事件から今日までどのような人生を歩んできたのか…と想像してしまう。このことは、タイタニック沈没よりも未来に生きる私たちが、事件の当事者に共感するよりも、現在のローズに共感できることで、よりタイタニック沈没の悲惨さを感じることのできる効果があると感じた。