kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『ピザ!』監督:M・マニカンダン

〇作品概要

・2014年製作のインド映画

・90分

〇感想・見どころ ※内容含みます

一見コメディ映画と見せかけて、貧困問題や、児童虐待、大人の姑息さなどをさりげなーく入れてくるところが、ほんっとに秀逸で、ストーリーも終始飽きることなくおもしろかった。

スラム街に住む学校にも行けていない貧しい兄弟は、ある日テレビでピザを見て以来、ピザが食べてみたくて仕方がない。そこで、石炭集めをして、地道にピザ代を稼ぐことにする。そして、何日か後にやっとピザ代が貯まった兄弟はピザ屋に足を運ぶのだが、スラム街の子供が来る場所ではないと門前払いをくらってしまうのだ…。何日間もかけて一生懸命にピザ代を稼ごうとする幼い兄弟を見ているだけで、なんだか泣けてくるし、今すぐにでも彼らにピザを買ってきてあげたくなる(笑)それにも関わらず、門前払いをする大人がいるとは!兄弟がどれほど汗水を垂らして、ピザを食べることを待ちわびていたことか!!それでも心折れずに、今度は見た目で判断されないように新しい服を調達しようと、再び石炭集めに励む子供たちの姿に切なさがこみあげてきた。

そうして、兄弟たちは見事新品の服を身に付けて、再びピザ屋を訪れる。やっと彼らにピザを食べさせてあげられる!と嬉しくなったのもつかの間で、なんと彼らは再び入店を拒否されてしまうのだ。なんてひどい世の中なのだ!と、憤りすらも感じ始めた頃、そこからストーリーは思わぬ展開を見せ始める。そして、予想外の形で兄弟たちはピザを食べるという夢を叶えることになる。その夢が実現された背景には、悪い大人や心の小さい大人、お金に目がくらんだ大人などが要因となっているところが、非常におもしろい。純粋でまっすぐな兄弟たちとは対照的に、大人たちの悪賢さが滑稽に描かれているのだ。どうか兄弟たちには、彼らのような姑息な大人にはならないでほしいと願わずにはいられない。感動も笑いも涙も、全てが詰まった素晴らしい作品だった。

ぜひ、兄弟たちがどうやってピザに辿り着けたのかを作品を見て確かめて頂きたい。ついでに、念願のピザを食べた彼らの感想も聞き逃さず…笑