『青の炎』監督:蜷川幸雄
〇作品概要
・2003年公開の邦画
・原作 貴志祐介「青の炎」
〇感想・見どころ ※ネタばれ含みます
冒頭シーンがとても印象的だった。主人公の秀一が体を丸めて大きな水槽のような中で横になっている。ぼっとしているかと思うとふと起き上がり、お気に入りのロードバイクを押しながら、自分の部屋として利用しているガレージの扉を思い切り開ける。すると、薄暗かった部屋に一気に光が差しこんでくるのだ。その雰囲気はなんだか神秘的な感じがして、これからすごい物語が始まるような予感を起こさせた。
また、秀一が義理の父を殺すために学校を抜け出し、父を殺すまでの一連のシーンも強く記憶に残った。秀一は、太陽がギラギラと輝く中を大粒の汗をかきながら、ひたすらにロードバイクをこぐ。その荒い息遣いから、これから人を殺すのだという彼の焦燥と緊張感、それ以外のことは一切頭にないというような心情がヒシヒシと伝わってきて、こちらも思わず息をするのを忘れてしまうようなシーンだった。
原作の作品紹介で日本版の「罪と罰」だと記載があったが、なるほどととても共感した。