kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『レベッカ』

〇作品概要

・2020年のイギリス映画

・監督:ベン・ウィートリー

・1940年に、ヒッチコックが同じ原作で同名の映画を制作している。

・あらすじ

…主人公(リリー・ジェームズ)は、ある夫人の付き人として、モンテカルロでの旅行に同行していた。そこで、富豪のマキシム・ド・ウィンター( アーミー・ハマー)と恋に落ち、2人は婚約する。彼の豪邸に移り住むことになった主人公は、そこに住む使用人たちが、未だに夫の亡き妻の存在に囚われていることに気づく。そして、彼女自身もだんだんと、夫の元妻の存在に翻弄されるようになり…

〇感想・見どころ ※内容含みます

 前半は圧倒的映像美のロマンスで、後半は不穏な空気漂うサスペンスという、前後で物語の雰囲気がガラッと変わる作品だった。

 前半のモンテカルロの場面は、息をのむほどの映像美で溢れている。主人公が滞在するホテルも中世の宮殿のようで、全体的にパステルカラーの色調もなんともかわいらしかった。主人公が、マキシムとのデートに行く時には、毎回雇ってもらっている夫人に「テニス教室だ」と嘘をついて、いつもラケットを持ってウキウキしながら出かける様子が微笑ましく、きゅんとしてしまった。また、マキシムとデートに行く場所を決めるために、いつもホテルのフロントマンを通して手紙でやり取りをするのだが、その古風な感じがなんともロマンチックで素敵だった。

 そんな風に、前半はときめき満載の恋愛物語なのだが、彼女がマキシムの家に移ってから雲行きが徐々に怪しくなりはじめる。とは言え、マキシムの屋敷もかなりの豪邸で、内装の豪華さはモンテカルロのホテルに引けを取らず、特にガラスの間のような部屋の美しさには圧倒された。引き続き、中世ヨーロッパ的な雰囲気は楽しめるのだが、終盤は亡き妻に関するある事実が明らかになったことで裁判が始まってしまい、もう完全に泥沼のサスペンス映画になる。個人的には、最後の裁判のくだりはなくてもよかったかなと感じた。レベッカという女性が謎に包まれていたままの方が、彼女の存在に対する恐怖感がいつまでも記憶に残った気がする…ただ、ときめくような恋物語がありつつ、レベッカという謎の存在が差し迫り、最後は謎の正体の全貌が明らかになる、という全体のストーリーの流れは、比較的引き込まれ、総じておもしろかった。