『彼女のいない部屋』
〇作品概要
・2021年製作のフランス映画
・監督:マチュー・アマルリック
・試写会にて鑑賞
〇感想・見どころ ネタバレ含みません!
「家出した女の物語、のようだ」ということしかストーリーが明かされていないという事に、もうただものではない作品のような予感がして観なければいけない!と感じた。そして、実際ただものじゃなかった。
ストーリーを明かすことができないのにはやはり理由があって、まちがいなく一切の情報なしで観た方が心に響くだろう。そのため、本文でもストーリーには触れられないのだが、全てを知った時には本当に鳥肌が立った。そして、真実を知ったうえで、改めて冒頭からストーリーを振り返った時には気づいたら涙が出ていた。映画を観終わった後に涙し、これほど余韻が残ったことは初めてだった。
本作では終始ピアノの音が流れているのが印象的で、その音色はどこか儚げで寂しい気持ちにさせる。それこそが、物語の全貌が見えていないけど、観ているとなんだか少し悲しい気分になってくる要因であるように感じた。また、本作の秀逸なところは、ストーリーのみならず、映画の構成や編集までもこれまでに体験したことがないものだった点だ。詳細を言えないのが惜しいが、とにかく一瞬一瞬から目が離せなくなるのだ。
現時点で圧倒的に今年の洋画のベストだった。