kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『映画に愛をこめて アメリカの夜』監督:フランソワ・トリュフォー

〇作品概要

・1973年制作 フランス・イタリア合作

・上映時間 115分

・1973年度アカデミー賞 外国語映画賞

・作品内容

 …映画の中で映画を撮っている作品。その撮影現場では、俳優とスタッフの恋愛、俳優たちの私生活の事件など、次々と撮影を止める出来事が起こる。なかなか撮影がスムーズに進まない中で、監督を中心に、なんとかみんなで期限内に撮影を撮り終えるように奮闘する話。

〇感想・見どころ 

 本作を観終わった感じたことは、映画の撮影現場はとにかく大変そうだな(笑)ということと、トリュフォーの映画への愛が伝わってきたことだ。また、なんといってもフランソワ・トリュフォー自身が、監督役として出演していることも見どころである。演技とはいえ、トリュフォーが実際に支持を出したり、役者にアドバイスしている姿を見れることは、映画ファンであればテンションが上がることまちがいない。

①映画の中の映画に登場する俳優たちのドタバタ劇がおもしろい!

 作品の中に登場する俳優たちの、キャラがたっていておもしろかった。私生活の恋愛に振り回されすぎて、しまいには現場から逃亡する主演男優や、夫に自分が浮気をしたと誤解され、ショックを受けて楽屋に閉じこもってしまう女優など、皆スタッフたちが頭を抱えてしまうようなことを次々と起こすのだ。そんな俳優たちをなだめ、撮影を無事に終わらせようと尽力する監督やスタッフ陣の姿は、演出によりいくらか滑稽で、気の毒で、思わず笑ってしまう。実際の現場もこんな感じなのだろうか…と想像すると、より一層映画へのリスペクトが増した。また、そのように俳優たちが問題を起こすのは、彼らが想像できないプレッシャーを抱えているからだ、ということも描かれている点に、トリュフォーの俳優への敬意を感じた。

②撮影の裏側を垣間見れることが、興味深い!

 本作はメイキング映像を見ている感覚に近いため、撮影の裏側を知れることが、映画ファンであればたまらないはずだ。例えば、あるシーンを撮るにあたり、監督がどうやって人や車の動きを支持しているのか、小道具はどう決めるのか、スタントマンを使ったシーンはどのように撮影しているのかということを知ることができる。また、映画を作るうえで欠かせない予算の問題や、保険について監督がスタッフに相談するシーンなどもあり、そのような映画作成におけるシビアな部分も垣間見れることは興味深かった。また、俳優・制作陣・マスコミ・その他協力会社など、あらゆる方面から質問攻めにあう監督の姿を見ていると、映画監督という仕事がどれほど偉大であるかを改めて知ることができる。