kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『HOT SUMMER NIGHTS』 監督:イライジャ・バイナム

〇作品概要

・2019年日本公開のアメリカ映画

・上映時間107分

・主要キャスト…ティモシー・シャラメアレックス・ローマイカ・モンロー

  父親を亡くして憂鬱な日々を送っている、ダニエル・ミドルトン(ティモシー・シャラメ)は、夏休みに叔母の家で過ごすためにケープコッドに行くも、街の人と馴染めず、パーティに行っても孤立していた。ある時、「人を殺したことがある」と噂されるハンター・ストロベリー(アレックス・ロー)と出会い、彼と一緒に大麻の売却をやるようになったことでダニエルの人生は一変する。また、ダニエルは、ハンターから絶対に手を出すなと言われていた、ハンターの妹のマッケイラ(マイカ・モンロー)に恋をしてしまい…

〇感想・見どころ ※多少のネタばれ含みます  

  本作は、甘くずっぱい恋の一面とちょっとダークな一面が入り混じった青春物語だ。夏の高揚感と共に、街のマドンナ的存在であるマッケイラに夢中になるダニエルの姿や、見事マッケイラを手に入れた後の2人のキラキラした時間が眩しいくらいに描かれている。その一方で、ダニエルが大麻の売却という社会の闇にどんどん落ちていったり、マッケイラとの交際が、兄のハンターに絶対にバレてはいけないという緊張感があったりするなどのスリリングな一面も描かれている。さらには、マッケイラは兄のハンターが大麻を売っていることにずっと反対しているため、ダニエルは、自分も兄と一緒に売却をしていることをマッケイラに隠さなければいけない、というハラハラドキドキ感もあり、それらが全体を通してちょうどよい割合で折りまざっていることで、飽きることなく楽しめる作品であった。

 また、ダニエルが破滅に向かっていく様子を、街に嵐が接近することと重ね合わせることによって、恋もドラッグの売却もうまくいっていた時間が、嵐の前の静けさを表しているようで、より一層ラストの展開が気になって仕方がなかった。

 1人の若者の隆盛から破滅までの物語が、”青春”を強調させる演出により、観終わった後に「輝かしかったあの頃の時間」として記憶に残る作品であった。