kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『カメラを止めるな!』監督:上田慎一郎

〇感想 ※ネタばれ含みます

 本年のカンヌ国際映画祭にて、本作の海外リメイク版が上映されたということだったので本家を観てみようと思ったのだが、始まって早々、いきなり心を鷲掴みにされた。物語は何のあらすじもなく急に始まり、気づけばゾンビが次々と出てきて、なんだか自分がゾンビ系の逃げ惑うゲームをやっているような、これまでにない不思議な感覚になった。このゾンビたちは、本当は監督が用意した偽物で、監督も演技しているのではないか、いや、でもやっぱり本当にゾンビが出現したのかも…などいろいろ考えてしまった。しかし結局、ストーリーの中でゾンビ映画を撮影していて、その出来上がった映像を見せられていた、という予想だにしない展開に惹きつけられた。このストーリー構成が、もし、ゾンビ映画を撮る企画の場面から始まり、最後に完成したものを流すという時間に沿った構成だったならば、ここまでの魅力的な作品にはならなかったであろう。いきなり何の説明もなく、完成された映画を流し、その後にできあがるまでの裏側を描くという構成が斬新で、おもしろかった。監督も役者も無名にも関わらず、当時あれほどの話題作となり、数々の賞を受賞したことに納得した。

 また、ゾンビ映画が完成されるまでを描いている場面では、役者の顔合わせはどういうものかや、カメラマンはどのようにしてワンカットを撮っていたのか、各シーンにおいて誰がどのような動きをしていたのかなど、撮影の裏側を垣間見ることができたことは、映画好きとしては非常に興味深く、おもしろかった。さらには、合間に挟まれる、キャラ濃いめのキャスト陣たちの、監督を困らせるやらかし行動が地味におもしろく、思わず吹き出してしまう場面が多々あった。総じて新感覚で、ハチャメチャで楽しめるゾンビ映画であった。