kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『オードリー・ヘプバーン』監督:ヘレナ・コーン

〇作品概要

ハリウッド全盛期の最後のスター、オードリー・ヘプバーンの人生に迫った、ドキュメンタリー映画

〇感想・見どころ ※多少のネタばれ含みます

 オードリーは、誰よりも人を愛し、晩年には世界の子供たちのためにユニセフの活動に貢献した。それらは、全て子ども時代の辛い経験からだった。            

 世の中、辛い経験を他人のせいにし、それを恨み、自分より幸福な人物を見ると憎しみを感じてしまう人間は少なくないだろう。しかし、彼女はそんなことは決してしない。自分を捨て、傷つけられた父親すらも許してしまう。オードリーは、憎しみからは憎しみしか生まれないと知っていたのだろう。辛い経験から得たことを、自分ではなく、他人のために活かすことができるなんて、本当に人として尊敬を感じた。また、自分が努力して得た名声も、自分の利益のためではなく、世界の子供たちのために利用できるオードリーは、誰よりも心優しい人だったに違いない。映像の中で、飢えた子供たちを見つめるオードリーの目には嘘がなく、彼女のとにかく真っすぐで誠実な生き方に、自然と涙が出てきた。

 

 オードリーほど、人として完璧に近い人間はいないのではないだろうか。本作を観れば、彼女の美しさは、彼女の心が美しいからだと誰もが確信するだろう。そして、美しい生き方ができる人だからこそ、世界から愛されたのだと知ることができるだろう。 彼女の生き方は、フィクションでは学べないことを私たちに教えてくれる。