『TITAN チタン』 監督:ジュリア・デュクルノー
〇あらすじ(簡単に)
子どもの頃にある事故が原因で頭にチタンを埋め込まれたアレクシア(アガト・ルセル)は、それを機に、車に異常な愛着を覚えるようになり、かつ、性格が暴力的になってしまう。ある日、悲惨な事件を起こしてしまったアレクシアは、身を隠すために忍び込んだ家でヴァンサン(ヴァンサン・ランドン)という男に出会う。彼は失踪した自分の息子とアレクシアを重ね合わせてしまい…
〇感想・見どころ ※ネタばれ含みます
①一言でいうと、ぶっとんでる。
観た直後の率直な感想は「ぶっとんでるな」ということ。車に惹かれる設定や、序盤でアレクシアが颯爽と何人も殺すこと、車との子を妊娠してしまうこと、そのアレクシアの妊娠している異常な姿を見てヴァンサンが普通に受け入れることも、クレイジーだ。そのクレイジーさに、ジュリア・デュクルノーのすごさを感じ、これまで見たことがないストーリーに引きつけられた。
②なぜアレクシアはヴァンサンを殺せなかったのか?
アレクシアが、ヴァンサンに心を開いたことは意外だった。あれほど容易に人を殺せる人間が、彼を殺すことを踏みとどまったのはなぜだろう。これまで命を奪ってきた人と彼はどこが違ったのだろうか。アレクシアは、本能的に彼に対して自分を守ってくれる存在であると感じたからだろうか?それほどまでに、人を変えることができるのは、「愛」ということか。。。この問については、1度観ただけでは明確にはわからなかったため、もう一度作品を観てじっくり考察したい。
③劇場で観ることがおすすめ
本作は、配信より劇場で見るべき作品であると感じた。作品の中で、アレクシアが他人や自分を痛めつけるシーンや莫大な音楽を流して踊るシーンは、劇場で観ることによって、そのゾクゾクするような痛みや、踊り出しだくなる感情をリアルに体験することができる。このような身体的体験を味わうことのできる作品は、なかなかないと思うので、ぜひ劇場で観ることをお勧めする。