kimmaのシネマブログ

映画とたまに本・ドラマの感想・自分なりの解釈について。あくまで1個人の意見です…

『C’MON C’MON カモンカモン』 監督:マイク・ミルズ

〇あらすじ(簡単に)

ジョニー(ホアキン・フェニックス)は、妹の事情で、しばらく甥のジェシー(ウディ・ノーマン)の面倒をみることになる。そんな二人の日々を、ジョニーが仕事で行っている、こどもたちへの大人や未来についてのインタビューを交えながら描いていく。

〇感想 ※ネタばれ含みます

 それぞれの持つ人生観とか思想のような、うまく言葉にできない形而上のものに焦点を当てた作品に感じた。作品の中で、子どもに対して地球の未来や自分の親、今生きてる世の中についてどう思っているかをジョニーがインタビューし、回答している子供たちが何度か写し出されるが、どの子も驚くほどしっかりと自分の考えを持っていて、その内容が例えば「人を蹴落とさないこと」、「人を傷つけないこと」というような至極真っ当なことで胸を打たれた。こういう子たちがそのまま大人になったならば、世界は平和になるのだろうなと感じずにはいられなかった。

 また、タイトルにもなっているジェシーの「C’MON  C’MON 」が含まれるセリフの部分は、なんだか泣きそうになった。こんな小さな子どもが、なぜこんなにも人生の生き方を知っているのだろうか。作品の中に出てくる子どもたちの言葉、また絵本の内容は、「世の中捨てたもんじゃないな」と思える希望を私に与えてくれた。

 皆、子供のころは思いやりや、人を傷つけない方法を知っているにも関わらず、なぜ大人になると忘れてしまうのだろう。大人になっていく過程で、子供時代に持っていた真っすぐな思いや、夢や希望だけでは生きていくことができないことに気づき、いろいろなことを諦めるからだろうか。

 そういった子供時代に感じていた大切なことを思い出せさるための手段の1つとして、映画は存在するかもしれないと思った。

 とにかく、この作品は一言で「おもしろかった」と片づけられる作品ではない。もっとこう、道徳や生き方についてじっくり考えさせられる素晴らしい作品である。